腸内環境が良くなるとうつ病も良くなるかもしれないという話

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腸内環境が良くなるとうつ病も良くなるかもしれないという話
うつ病心と食事
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みなさん、おはこんばんちは。
さぶらでございます。

今回は、先日友人からリクエストされた、「腸内環境が良くなると、うつ病も良くなるかもしれない」という、最近なにかと目にするようになった「脳腸相関」に関する話をしてみようかと思います。

脳腸相関とは、「脳と腸は相関関係にあるよ」という意味の言葉で、以前から医療関係者の間で使われていたそうです。
「脳の調子が悪くなれば、腸の調子も悪くなる」という感じですね(あとでもうちょっと詳しめに説明します)。

これまでは「なんかそういう感じっぽいよね」というレベルの話だったようですが、近年いよいよ科学的にも説明できるようになってきたらしく、結構注目されているっぽいのです。

というわけで、この記事は以下の内容でお送りします。

  • 腸とうつ病の関係性
  • セロトニンと腸内環境の基礎知識
  • 脳腸相関について
  • セロトニンを増やしながら腸内環境を整える方法
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腸がうつ病の何に関係あるんだってばよ

仮に脳腸相関が本当のことだったとして、腸の何がうつ病と関係しているのでしょうか?

それはズバリ、「セロトニン」。
俗に「幸せホルモン」とも呼ばれる脳内物質で、心を安定させる効果があり、うつ病治療においても重要視されています。

そんなセロトニンですが、実は脳以外の場所にも密接な関わりがあります。

それが腸です。
腸は体内のセロトニンの95%を生成する、セロトニンの一大生産地となっているのです。

ここまで言えば、もうおわかりでしょう。

「腸を健康にしてセロトニン量産すれば、うつ病も良くなるんじゃね?」

セロトニンってどんなの?

「セロトニンは幸せホルモン」とか言われても、知らない人には正直なんのこっちゃわからないかと思います。
なのでまずは本題に入る前に、そもそもセロトニンとは何者なのかについて、うつ病に関する部分をピックアップして紹介しておこうと思います。

例によって、「そんなの知ってるよ!」という方はこっちまで飛ばしちゃってください。

セロトニンは脳内物質

セロトニンは、脳内で(も)分泌されている神経伝達物質です。

神経伝達物質は、脳が情報のやりとりや処理のために張り巡らしているニューロン(神経細胞)ネットワークにおいて、電気信号のような役割を持ち、脳に喜怒哀楽や欲求、意欲、恐怖などを感じさせる仕組みや、生理現象を引き起こす仕組みの根幹を担っています

たとえば、好きな人と触れ合ったり見つめ合ったりすると、幸せを表す神経伝達物質であるオキシトシンがニューロンネットワークを駆け巡ることによって、人は「幸せ!ラブラブ!!」と感じます。
同じようにセロトニンが駆け巡ると、脳は幸せを感じたり、他の神経伝達物質の分泌を調整する(感情を落ち着かせる)機能のスイッチを入れたりします。

うつ病と関係が深いセロトニン

セロトニンが不足すると、ドーパミン(意欲・快楽への予感など)とノルアドレナリン(攻撃性など)の調整がきかなくなり、精神的に不安定な状態となります。

たとえば、ドーパミンが過剰分泌されると幻覚や妄想が引き起こされたりしますし、逆に不足すると(食事やエッチも含めて)何にもやる気がなくなったりします。

ノルアドレナリンが過剰分泌された場合は、異常に攻撃的になったり、ヒステリーを起こしたり、最悪はパニック状態になったりします。
逆に不足すると、意欲や興味が消え失せて無気力になったり、集中力がなくなって判断力が低下したりします。

これらドーパミンとノルアドレナリンの過不足による症状には、うつ病でおなじみの症状が多数含まれています。
これは決して偶然ではなく、これらの調整を行うセロトニンはうつ病のメカニズムに深く関わっているのです。

最近の抗うつ薬とセロトニン

このようにうつ病における多くの症状は、セロトニンが不足することによるドーパミンとノルアドレナリンの過不足から引き起こされます。
それゆえに、多くの抗うつ薬はセロトニンにアプローチする機能を持っています。

以下は、その一例です。

  • SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬):セロトニンを増やす薬
  • SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬):セロトニンとノルアドレナリンを増やす薬
  • NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬):セロトニンとノルアドレナリンを増やす薬

古い薬(三環系など)は副作用も相応に強いものが多く、最近では利用される機会は少ないかと思いますが、こちらにもやはりセロトニンを増やす効果が含まれています。

つまりものすごいざっくり考えると、うつ病を脳から治すにはセロトニンの不足を補うのがいい、という感じなのです(もちろん、セロトニンの話がうつ病治療のすべてという意味ではありません)。

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腸内環境についておさらいしてみよう

もうひとつ前提知識として、腸内環境についてもおさらいをしておきましょう。

こちらはセロトニンに比べて、より広く知られている知識かと思います。
「説明されるまでもない!」という方は、こちらに飛んでください。

良い腸内環境がもたらす4つの良いこと

まずは基本中の基本。
腸内環境が良くなると、次のような良いことが起こります(うつ病関係は除く)。

  • お通じが良くなる
  • 免疫力が上がる
  • アレルギー症状が改善する
  • お肌がキレイになる

これだけでも、十分な効果といえるのではないでしょうか?

腸内環境が良いってどういうこと?

では腸内環境というのは、具体的に何なのでしょうか?
何をどうすれば良くなるのでしょう?
というか、そもそもどうなれば「良い」のでしょう?

結論から言うと「腸内環境が良い」というのは、「腸内世界の情勢が、人間に取って都合の良い形で落ち着いている」ことです。
この「都合の良い形」を説明するためには、血で血を洗う戦火に覆われた、腸内フローラの話をしなければなりません。

腸内細菌たちの世界「腸内フローラ」

私たちの腸内には、およそ100兆の腸内細菌が住んでいます。
(ちなみに、100兆の腸内細菌を全部合わせると、1.5kgくらいの重さになるそうです。すごい!)

この大量の腸内細菌は、種類ごとにコロニーを作って生活しています。
コロニーというのは村みたいなもので、ある程度の数がまとまって暮らしているとイメージしてください。
(「ビフィズス県」みたいな都道府県っぽいものをイメージしても良いですし、ガンダムのスペースコロニーを想像しても良いです)
とにかくこのたくさんのコロニーが、いわゆる「腸内フローラ」(腸内細菌叢、ちょうないさいきんそう)と呼ばれている、腸内細菌たちが住む世界です。

ちなみに腸を顕微鏡で見ると、これら大量のコロニーがお花畑(flora)のように見えるそうで、これが「腸内フローラ」と呼ばれる理由らしいです。

腸内フローラ3大勢力

さて腸内細菌といえば、「ビフィズス菌」を代表とする善玉菌と、「病原性大腸菌」を代表とする悪玉菌が有名です。
「善玉菌が増えれば腸内環境が良くなるので、善玉菌が含まれているヨーグルトを食べると良い」みたいな話も、広く知られているかと思います。

しかし、どうして善玉菌が増えると良いのでしょう?
増やすとしても、どのくらい増えれば良いのでしょうか?
その説明のためにも、腸内フローラにおける3つの勢力「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」を紹介したいと思います。

まず「善玉菌」は、基本的に人間の体に良い影響を与える腸内細菌たちの勢力です。
効能は菌ごとに違いますが、腸の機能を高めるものや、悪玉菌の増殖を防ぐもの、他の善玉菌の増殖を助けるものなどがあります。
乳酸菌や酪酸菌などが、善玉菌勢力に所属しています。

対して「悪玉菌」は、基本的に人間の体に悪い影響を与える腸内細菌たちの勢力です。
こちらも菌ごとに発揮する影響が異なりますが、一例としては発がん性物質を作り出す、炎症を起こす物質を作る、たんぱく質を腐らせて毒素を作る、といったものがあります。
病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌(アニメ『はたらく細胞』にも出てきました)などが、悪玉菌勢力に所属しています。

最後の「日和見菌」は、優勢な方に加担する腸内細菌たちの勢力です。
善玉菌が有利なときには基本的に何もせず、悪玉菌が有利になると悪事を働きます。
汚いなさすが日和見きたない。

善玉菌と悪玉菌の仁義なき戦い

善玉菌と悪玉菌は、絶対に相容れることがない生涯の敵です。
そのため腸内フローラでは、血で血を洗う善玉菌と悪玉菌の仁義なき戦いが繰り広げられています。

悲しいことに、腸内細菌には情けがありませんので、どちらかが死に絶えるまで戦い続けます
絶対殺すマンです。
彼らに反戦や厭戦の概念はありませんし、慈悲の心も持ち合わせていません。

都合の良い勢力バランス

しかし人間にとっては、善玉菌はもちろん、悪玉菌であっても滅んでもらっては困ってしまいます。
なぜなら、悪玉菌のすべてが悪事を働いているわけではないからです。

たとえば免疫機能に注目すると、善玉菌が対処できない病原菌でも、悪玉菌なら倒せる場合があります。
また人体への影響という意味では、悪玉菌の中にもこっそりと人体に良い影響を与える働きをするものもいます。

こういった事情もあり、腸内フローラにおける勢力比は「善玉2:悪玉1:日和見7」がもっとも適切だとされています。
この比率が、私たちが目指すべき「腸内環境が良い」状態です。

脳腸相関とは?

セロトニンと腸内環境についてのおさらいが済んだところで、次に「脳腸相関」についてお話したいと思います。

最初にさわりだけ簡単に説明しましたが、脳と腸には相関性があると言われています。
そしてうつ病に深く関わりがあるセロトニンも、同様に脳と腸に関係があります。

つまり、こういうことです。


セロトニンが不足するとうつ病の症状が出る >> 脳内(で作られる)セロトニンの材料は腸が生産している >> 材料が増えれば脳内セロトニンの生産量も増えるんじゃね? >> 腸内環境を良くしたら材料の生産量も増えるんじゃね? >> 腸良くしたらうつ病治るんじゃね?

これは間違いじゃないかもしれない話なのです。

ストレスが原因で下痢になる

実は脳腸相関という考え方は新しいものではなく、医学界では以前から言われ続けていました。

たとえば、若い人にも多くみられる「過敏性腸症候群」(胃腸は悪くないのに、長期間便秘と下痢を繰り返すような症状)ですが、最大の原因はストレスだといわれています。
ストレスによって自律神経が乱れ、その影響で腸が過敏になった結果、下痢や便秘が引き起こされる、という解釈です。

これも脳腸相関が関係していると思われる話のひとつで、脳のダメージが腸に影響している感じです。

仮に過敏性腸症候群にまでなっていなかったとしても、ストレスが多いとおならが増える(そして臭くなる)とか、下痢や便秘になりやすいといった経験がある人は、それなりに多いんじゃないでしょうか。

研究が進んでいる分野

他にも脳と腸の密接な関係が伺える事例は、多数あります。
また近年、それらが科学的に説明できるようになりつつあるくらい、脳腸相関に関する研究が進んできています。

しかし「腸を良くすればうつ病が良くなる」という話については、まだハッキリと科学的に証明された話ではなく、その可能性が高い、という段階なのが実際のところです。

とはいえ、うつ病と腸内細菌保有数に相関がみられる(うつ病の人は腸内細菌が少ない)という報告や、うつ病の人の腸内環境を良くしたらうつ病も緩和した、という報告もみられます。

これらのことから、腸とうつ病の関係性については、結構可能性のある話なのではないかな、とさぶらは考えています。

セロトニンを増やしながら腸内環境を整えよう

本当に効き目があるかどうかについては、もう少し研究が進むのを待たないとハッキリしません。
しかしうつ病で苦しんでいる人には、待っている暇はないはずです。
悩んでいる暇があるなら、実際に試してみましょう!

ということで、いよいよ本番です。
ここからはセロトニンを増やしながら腸内環境を良くして、セロトニン生産量を倍加させる(かもしれない)方法について説明していきます。

セロトニンの増やし方

まずは直接的にセロトニンの生産量を増やす手段を紹介します。

すべてを継続的に行うことが理想ですが、難しい場合はどれかひとつでも良いと思います。

日光を浴びる

セロトニンの増やす方法として真っ先に挙げられるのが、日光浴です。
直射日光にこだわる必要はなく、晴れの日なら窓際で過ごすだけでも効果があります。

浴びる時間の目安は、1日20~30分です
ちなみに電気の灯りでは強さがたりないことがほとんどなので、必ずお日様の光を浴びるようにしましょう

なお、曇りでも雨でも、外に出れば効果が期待できるようです。

リズミカルな運動をする

日光浴だけでなく、リズミカルな運動でもセロトニンを増やすことができます。

具体的には、ウォーキング、ジョギング、縄跳び、スクワットなどです。
他にもリズムに乗ったダンスや、呼吸、咀嚼(そしゃく。もぐもぐ)などでも効果がみられるそうです。

ただし、運動中はしっかり運動に集中する必要があります
スマホ片手に、とかはやめましょう。

体を動かすのが辛い場合は、ガムを長めに(20~30分)リズムよく嚙み続けるだけでも良いので、ぜひ試してみてください。

セロトニンの材料を摂取する

直接セロトニンを増やすわけではありませんが、セロトニンの材料となる栄養を摂取するのも良い方法です

セロトニンの材料となるのは、必須アミノ酸のトリプトファン
1日に摂取する量の目安は、体重1kgあたり2mg程度となっています。

食品中に含まれるトリプトファンの量
(食品 100 g あたり)

食品名含有量(mg)
バナナ10
牛乳42
ヨーグルト47
豆乳53
白米89
そば192
アーモンド201
肉類150~250
糸引納豆242
プロセスチーズ291
ひまわりの種310
たらこ291
すじこ331
「トリプトファン」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2018年9月26日 (水) 07:50 UTC、
URL:https://ja.wikipedia.org/

腸内環境の整え方

セロトニンを増やす努力と並行して、腸内環境も整えてみましょう。

セロトニンを増やすよりも努力と根気が必要になりますので、気合いを入れて用意してください。

整え方の基本

腸内環境の理想的な勢力バランスを実現するためには、複数種類の善玉菌を定住させる必要があります。
そのための、基本的な方法を説明します。

まずは善玉菌を増やすことだけ考えよう

繰り返しになりますが、目指すべき腸内フローラの勢力比は「善玉2:悪玉1:日和見7」です

まずは比率にこだわらず、悪玉菌よりも善玉菌を多くすることを目標に取り組んでみましょう

腸内細菌を摂取する

腸内細菌(善玉菌)は、ヨーグルトや味噌など、発酵食品に多く含まれています
こうした食品を継続的に摂取し、さまざまな種類の善玉菌たちを生きたまま腸に送り込み続けることが、腸内環境を整える第1歩になります(生きたままが理想ですが、死んで届いた細菌はエサになるので意味はあります)。

なお「継続的に摂取する」というのが、重要なポイントです。

実は人によって、腸の居住環境は異なっています。
そのため細菌の種類によって、住みやすかったり住みにくかったりという相性があるのです。
ちなみに相性の悪い細菌を摂取した場合、大半が定住できずに死滅します(水生生物を砂漠に放り出すようなイメージです)。

そのためまずは3週間程度、継続的に同じ食品を食べ続けて、どのように腸内環境が変化しているのかを判断する必要があるのです(判断方法はこちらで紹介します)。

以下は、腸内細菌を摂取できる発酵食品の例です。


ヨーグルト、チーズ、味噌、酒粕、納豆、甘酒、食酢、ぬか漬け、キムチ、ザワークラウト

腸内細菌のエサを摂取する

単に腸に善玉菌を放り込むだけでは、あまりにも無責任といえます。
なぜなら、仮に相性のいい善玉菌であったとしても、放っておくとエサを確保できずに死んでしまうからです。

善玉菌のエサになるのは、食物繊維オリゴ糖です
発酵食品と一緒に、十分なエサを放り込んであげましょう。

食物繊維(水溶性)を多く含む食品の例

切り干し大根、らっきょう、こんにゃく、じゃがいも、さといも、長いも、アボガド、キウイ、生プルーン、みかん、オートミール、寒天、わかめ、昆布、もずく、めかぶ、ココア

食物繊維(不溶性)を多く含む食品の例

ごぼう、かぼちゃ、切り干し大根、ブロッコリー、ほうれん草、大麦、ライ麦、蕎麦、干し柿、りんご、バナナ、キウイ、ブルーベリー、大豆、小豆、インゲン豆、枝豆、納豆、ココア

オリゴ糖を多く含む食品の例

ごぼう、たまねぎ、ねぎ、アスパラガス、にんにく、大豆、小豆、バナナ、はちみつ

善玉菌の種類を増やす

「このメーカーのヨーグルト好きだから、これを毎日食べよう」

もちろん悪くはないのですが、この食べ方だと同じ種類の善玉菌しか摂取できません
相性の良い菌にめぐり合うためにも、可能な限り複数の発酵食品を食事に取り入れましょう(ちなみにヨーグルトの場合、商品ごとに菌の種類が違っています)。

たとえば朝食にわかめの味噌汁、納豆、卵焼きを食べれば、味噌から麴菌を、納豆から納豆菌を取り込むことができます。
このようにして複数種類の善玉菌を腸に定住させることができれば、よりさまざまな良い効果が得られるようになります。

効果が出ない理由 ~善玉・悪玉戦争を生き抜く~

腸内環境を整えるために定期的にヨーグルトを食べていても、なぜか一向に効果が出ない、ということがあります。
そうなってしまう原因は、次の3つの可能性が考えられます。

  • 腸との相性が悪いため、定住できず死滅している
  • エサが足りず餓死している
  • 悪玉菌に虐殺されている

相性やエサについてはすでに説明しましたが、最後の「悪玉菌に虐殺されている」というのは何でしょう?

こちらでも触れたように、腸内フローラでは善玉菌と悪玉菌による覇権をかけた大戦争が繰り広げられています。
この戦争においては慈悲など一切なく、敵とあらば女子供も皆殺しです。

当然、投入されたばかりのヒヨっ子兵士たちも例外ではありません。

善玉菌が優勢ならまだしも、劣勢状態で少量を逐次投入しても、圧倒的な悪玉菌に都度蹂躙されてしまいます

戦いは数

人間の戦争では戦略や戦術、兵器性能で数の差を覆すこともありますが、腸内細菌の戦争では数がすべてです。
単純に数が多いほうが戦いに勝利し、相手を駆逐することになります。

したがって、ヒヨっ子の善玉菌がむざむざ殺されてしまう悲劇を回避する方法としては、次の2つの手段があります。

ひとつはこちらでも説明している、継続的な摂取です。
気が付いたときにヨーグルトを食べるのではなく、毎日食べ続けるというやり方になります。
コツコツ援軍を派遣し続けていれば、3週間もすれば大軍になるでしょう

もうひとつは、サプリなどによる菌の大量投入です。
特にサプリメントは継続的な摂取も同時に行えるので、菌の相性さえ良ければ効果てきめんです。
そう、相性さえ良ければ

いずれにせよ、どちらも大軍を腸に送り込むことに違いはありませんので、それだけの兵(菌)を維持できる量の補給が必要になります。
意識して食物繊維やオリゴ糖を摂取することも、忘れないようにしてください。

相性の良い戦士(善玉菌)を見つける方法

大量の戦力を投入するにしても、戦士(菌)と腸との相性が悪ければ、勝敗に関わらず死滅してしまうため意味がありません。
ではどのようにして、相性の良い戦士を見つければよいのでしょう?

地道ではありますが、実際に投入してみるのが一番確実です
特に、商品ごとに含まれる乳酸菌が異なっているヨーグルトを利用する際には、以下のように相性を確認するのがオススメです。

  1. 好みの効果を発揮する乳酸菌が含まれるヨーグルトをひとつ選ぶ
  2. 選んだヨーグルトを毎日50~100g程度ずつ、3週間食べ続ける
  3. 3週間で戦況が好転しているか判断する
  4. 好転していた場合は定住成功と判断し、その後も継続摂取を心がける
  5. 好転していなかった場合は相性が悪いと判断し、別のヨーグルトに変える

戦況はうんこで判断

菌の投入で戦況が好転しているかどうかは、うんこの状態から判断することができます

目指すべき理想的な勢力比を実現できている場合、以下の「良い状態」に該当するようなうんこが出てきますので、確認してみてください。

  • 堅さ:なめらかで柔らかい(ように見える)
  • 色:黄土色っぽい
  • 匂い:そんなに臭くない
  • 頻度:週に2回以上
  • 難産度:スムーズ(いきらなくても出る)

少しでも「良い状態」に近づいているなら、菌の投入と育成が順調に進み、戦況が好転しはじめていることを示しています。
逆に変化がないなら、投入中の菌が定着できていないと判断できます。

ジャンクフードは腸内世界の熱核兵器

人間の生活習慣や体調は、腸内フローラにおける善玉・悪玉戦争の行方に大きな影響を及ぼします。

たとえば不規則な睡眠や食事は悪玉菌の勢力拡大を助けますし、その逆の行動は善玉菌の援助になります。
そのため、規則正しくストレスが少ない生活を送るのが、腸内環境にとっては理想であるわけです。

とはいうものの、そこは個人の事情もありますし、なにかと忙しい世の中ですから、なかなか理想通りには行かないでしょう。
しかし最低限、これだけは気をつけて欲しいということがあります。

それはジャンクフードを食べ続けること。

ある実験で、23歳の青年が10日間、ハンバーガーとチキンナゲット、コーラだけを食べて過ごしました。
実験前の青年の腸には約3500種類の腸内細菌が存在していましたが、そのうち1400種類(全細菌の約4割)が、わずか2日で死滅したそうです。

このように、ジャンクフードは腸内世界の熱核兵器よろしく、大量の菌を滅ぼしてしまいます
苦労して作り上げた腸内フローラを台無しにしないためにも、ジャンクフードを食べ続けることだけは避けるようにしてください。

たとえガセだったとしても損のない話

非常に長々と説明してきましたが、最初の方でお伝えした通り、「腸が良くなるとうつ病も良くなる」という話が科学的にハッキリと証明されているわけではありません。

しかしながら、仮にうつ病との相関関係がなかったとしても、そもそも腸内環境を整えること自体に大きな意味があります(太りにくくなるとか!)。
そのことを含めて考えると、仮にガセだったとしても損はないはずです。

うつ病だけでなく健康のためにも、まずは食後のヨーグルトを3週間続けるところから始めてみませんか?

ーおしまいー

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