うつ病の人が「死にたい」と言う心理【うつ病体験者が解説】

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「死にたい」と言う心理
うつ病
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うつ病の人に良くある特徴として「死にたくなる」というのがあります。
人によっては「消えたくなる」だったりしますが、おおむねこのような気持ちを抱えて苦しむのがうつ病です。

そして私にも覚えがあるんですが、つい誰かに「死にたい」と言ってしまうこともあります。
しかしそんなことを言われても、大半の人は困ってしまったり、ときには怖くなったりしてしまうのではないでしょうか。

今回はうつ病の人が「死にたい」と言ってしまう心理について、私の体験に基づいて解説してみようと思います。

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なぜうつ病の人は死にたくなるのか?

そもそも、なぜうつ病になると死にたくなってしまうのでしょうか?

まずは基本知識として、うつ病の人が「死にたい」と思ってしまう理由について説明したいと思います。

うつ病は「憂うつになる」だけの病気ではない

名前が「うつ病」なので、もしかしたら「憂うつになる病気」と考えてしまっている人が多いのではないでしょうか。
あるいは「引きこもりになる病気」や「目が死んだようになる病気」といったイメージを持っているかもしれません。

「うつ病」が一体どんな病気で、どんな症状があるのかについては、うつ病を経験したことがないと分かりにくいかと思います。
確かに症状のひとつとして「憂うつになる」ことはありますが、それがすべてではありません。
ほかにも「眠れない」「食欲がない」「意欲が消える」「感情が消える」というような、さまざまな症状が伴うのがうつ病です。

そして「死にたい」と思ってしまうことも、うつ病であるかの判断基準とされているほどに代表的な症状なのです。

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うつ病は「自動思考」で加速する

うつ病の基本的な症状には「不眠」「自責」「焦り」「希死念慮(きしねんりょ)」といったものがあります。
これらの症状は、最初こそ一般的なレベルの「自責」や「焦り」であることがほとんどですが、深刻な症状に発展していく過程で、「不眠」や「希死念慮」が現れるようになります。

このように症状が悪化していくのは、発症の原因となった原因(ストレッサー)から影響を受け続けている場合のほかに、「否定的な自動思考」によって自責の念が膨れ上がる場合があります。
しかしどちらであっても、最終的には自動思考による症状の進行に切り替わることになります。

「自動思考」によって休みなく行われ続ける自己否定

「否定的な自動思考」について簡単に説明すると、「ある出来事を否定的に捉えてしまい、それを理由に自己否定してしまう」という一連の思考を自動的に行ってしまうことです。

例を挙げると、こんな感じになります。

「仕事で失敗した。
失敗したのは、自分の力が足りないからだ。
周りに迷惑をかける自分が情けない、ふがいない。
もっと頑張らなければならない」

上の例では「仕事で失敗した」ことの原因を自分の力不足と考え、「自分が情けない、ふがいない」と自責した上で、現在の自分を否定して「もっと頑張らなければ」と結論づけています。
この思考が危険なのは、たとえ自分だけが悪くて失敗したわけではなかったとしても、それに気付かないまま「自分が悪い」と考えて自責する点です。
つまり「いいがかり」に近い状態の自責が「自分の意思に関係なく発生する」というのが、否定的な自動思考です。

休みが必要なレベルのうつ病になると、このような理不尽な自己否定が1日中、休みなく繰り返されます(決して誇張ではありません)。
もちろん、自分の意思に関係なくです。

自己否定によって自分の存在価値が揺らいでしまう

自動思考は自分の心の中で起こっている出来事ですが、他人から否定されるときと受けるダメージは同じです。
この思考は止めるのは至難の業で、まさに地獄のような苦しみです。

もしその苦しさを想像するのが難しいという方は、家族や友人の力を借りて、1日中休みなく何があっても自分を否定し続けてもらってみてください。
きっと数時間だけでも、アタマがおかしくなってしまうと思います。

このような徹底した自己否定によって、やがて自分の存在価値が揺らぎ始めます。
つまり、自分のことを「生きていても回りに迷惑をかけるだけ」「生きている価値がない」「存在するだけムダ」と評価するようになってしまうのです。

うつ病の「死にたい」は症状のひとつ

「死にたい」と思ってしまうメカニズムさえ分かってしまえば、「自動思考」によって「自分には存在価値がない」と洗脳されているような状態だということが理解できるかと思います。

当然本人には、洗脳されているという自覚がありません。
だからこそ本気で「死にたい」「消えたい」と考えてしまい、死ぬ方法を調べたり、自殺の準備をしてみたり、場合によっては実行に移してしまったりするのです。

うつ病は生と死の狭間をウロウロしてしまう病気

自動思考によって洗脳こそされているとはいえ、もともとの価値観や知識まで書き換えられるわけではありません。
そのため、そう簡単には自殺を実行したりはしません。
自分でも訳が分からず、歯を食いしばって苦しみに耐えながら、何とかして踏ん張り続けている人が大半だと思います。

その理由は、人によってさまざまです。
例えば「自殺は良くない」という従来の価値観かもしれませんし、「死ぬのは怖い」という恐怖かもしれません。
また「死ぬと周りに迷惑がかかる」と考えて踏み止まることもあるでしょう。
私の場合は「怖い」「痛いのはイヤだ」「迷惑がかかる」の3つが主な理由でした。

いずれにせよ、重いうつ病の人はさまざまな理由から、安易な死を選ばずに、何とかして耐えている状態なのです。

「死にたい」と言う人は何を求めているのか

私も2、3回くらい、「死にたい」と人に話した経験があります。
もちろん相手を選び、「この人になら話せる」という人にしか打ち明けていません。
おそらく他の人も同じように、確実に信頼できると考えている相手に対してだけ、「死にたい」という気持ちを伝えているのではないかと思います。

ではそうやって「死にたい」と言い出すとき、うつ病の人は何を求めているのでしょうか?

根底にあるのは「共感」の希求

私の場合は、とにかく「この辛さを理解して欲しい」という思いが強かったのを覚えています。
辛さを理解し、共感してもらうことによって、少しでも気持ちを楽にしたかったのです。
つまり

「ついあなたに死にたいと言ってしまうほど辛いんです、理解してくれますか?」

ということです。

もちろんこれは私の場合ですので、すべての人がそういう気持ちで言っているとは限りません。
なかには無意識で言っているケースもあるでしょう。
しかし根底にあるのは「共感」の希求なんだと思っています。

本当に死にたくて「死にたい」と言うわけじゃない

さて、突如として死への欲求を訴え始めたうつ病の友人を前にして、冷静でいられる人はそう多くはないかと思います。
そのため「死にたい」という言葉を額面通りに受け取ってしまい、何とか自殺を止めようとして説得を始めてしまう、というパターンが結構多いのではないでしょうか。

すでに説明した通り「死にたい」とは、おおむね「辛さを分かって欲しい」という意味の言葉です。
それなのに

「死ぬのは良くない! 命を粗末にするな!」

なんて言われてしまったら、たまったものではありません。
うつ病の人からすると、せっかく意を決して話したのに、罪悪感が掘り起こされて自責ネタが増えてしまい、結果として希死念慮が強化され、かえって苦しみが増すことになるからです(これはある意味曲解といえますが、この曲解自体もうつ病の症状のひとつなのです)。

実際に「死にたい」と言われたときの対処法

ここからは、実際に「死にたい」と言われたときの対処法を紹介したいと思います。

なお、これは体験に基づいた、私の意見に過ぎない点に注意してください。
(過去の私には効くはずです)

望ましいと思われる会話の流れを紹介

ではうつ病の人は、どのような会話の流れを期待して「死にたい」と言い出すのでしょうか?
ここでは、私が理想的だと考える会話の流れを紹介します。

うつ「もう死にたい」
友人「えっ!?急にどうしたの?何で死にたいって思うの?」(話を聞く)
うつ「実は……(日ごろの苦しみを訴えてくる)」
友人「うんうん」(話をさえぎらず聞きに徹する)
うつ「……というわけなんだ(訴え終了)」
友人「それは本当に辛かったね。死にたくなる気持ちも分かる」(理解と共感)

ポイントは「理解」と「共感」

健康な精神状態にある人が、うつ病の人の話を黙って聞き続けるのは大変なことだと思います(考えが偏りすぎていて、ツッコミどころが多いと感じるかもしれません)。
しかし、途中で「そこはそうじゃなくて、こう考えるべきだ」というように口を挟んでしまうと、相手は「だから自分はダメなんだ」と自責モードに入ってしまい、話すのを止めてしまうかもしれません。
もし相手のことを思う気持ちがあるのなら、そこはどうにかグっとこらえて、話を聞くことに徹してあげてください。
(もしそれが難しいのなら、”そもそも話をしない” という選択も優しさだと思います)

なお、話を掘り下げるような「そのときどう感じたの?」といった質問や、「それは苦しかったね」などの共感を示す言葉であれば、相手は「分かろうとしてくれている」「分かってもらえている」という実感が得られます。
ぜひ積極的にかけてあげてください。

ーおしまいー

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