うつ病が良くなってまだ半年しかたってないのに、いっちょ前に偉そうな記事を書いているさぶら(らいてぃんぐSabra)でございます。
今回から、少しだけフレンドリーな文体で記事を書いてみようと思いますので、よろしくお願いします。
さて、皆さんはどうしてうつ病が長引くのか、その理由をご存じですか?
かつてさぶらはうつ病を、風邪などの病気と同じだと思っていました。
つまり、薬を飲みながら通院していれば、そのうち勝手に治る病気だと考えていたのです。
しかし結果として、それは間違いでした。
克服するまで10年以上の月日がかかってしまいましたが、それでも克服できただけ良い方だと思っています。
このように、単に通院して薬を飲むだけの治療に頼っていては、長期化しているうつ病は克服できません。
不可能ではありませんが、それではハッキリ言って運ゲー(運に任せるだけ)です。
(うつ病の再発率が異常に高い理由は、多くの人が運ゲー状態にあるからだと、さぶらは思っています)
どんな問題でも、解決するためには以下のような手順が必要になります。
- 問題が発生している事実を認める
- 何が問題なのかしっかりと認識する
- 問題への対応方法を探す
- 見つけた対応方法を実行する
- 実行結果を評価する(必要なら3から繰り返す)
もちろん、これはうつ病も同じこと。
長期化するうつ病を克服するためには、まずは現状を認めて原因をハッキリさせることが最も大切になります。
そこで今回は、長期化するうつ病の主たる2つの原因について、お話をしてみようと思います。
原因は大きく分けて2つある
多くの場合、うつ病が長期化してしまう原因は2通りです。
それは「焦りすぎる」からでしょうか?
それとも「薬を飲むのを辞める」からでしょうか?
どちらも治療期間を余計に長引かせる要因ではありますが、残念ながら長期化の根本原因ではありません。
もし余裕があったら、原因が何かちょっとだけ考えて、予想してみてください。
(こうすると、答えが頭に残りやすくなるそうです)
予想できましたか?
それでは答え合わせをしてみましょう。
正解はこちら。↓
- ストレッサー(発症に至ったストレス原因)と距離を置けていない
- 認知が歪んでいる
なんだか分かるような、分からないような答えかもしれませんので、これからそれぞれについて詳しく解説してみます。
なお、これはいわゆる「メランコリー型うつ病」の話をしています。
最近多いといわれている「新型うつ病(非定型)」とはちょっと違う話になりますので、注意してください。
(このブログでのうつ病に関する情報は、基本的に「メランコリー型」を対象としています)
原因1:ストレッサーと距離を置けていない
うつ病を発症する要因として、ライフイベント(昇進、結婚、離婚、家族との死別など)や極度のストレスがあります。
いずれの場合でも、処理しきれないほどの大きなストレスを受けた結果、うつ病を発症してしまいます。
ストレッサーとは、「自分にストレスを与えてくる何か」を指す言葉ですが、モノであるとは限りません。
たとえば昇進をきっかけに心のバランスを崩した場合は、「昇進」という出来事や環境変化の要因がストレッサーになります。
うつ病を克服するためには、ひとまずこれらストレッサーから(物理的にも精神的にも)距離を置く必要があります。
原因2:認知が歪んでいる
いわゆる「認知の歪み」というヤツです。
人は物事の解釈や受け取り方、捉え方(これらをひっくるめて「認知」と呼びます)についてパターンを持っています。
この「認知のパターン」が極端にいびつだと、余計に大きなストレスを受けてしまいます。 これが「認知の歪み」です。
例えば大事な仕事でミスをしてしまった際、「認知の歪み」がある人は以下のように考えがちになります。
「こんな大事な仕事でミスをしてしまった。もうおしまいだ」
「大事な仕事をするといつもこうだ。必ず失敗して、白い目で見られる」
「また失敗した。今まで仕事をしていて何一つ良いことがない」
「自分が無能だからミスしてしまうんだ」
「きっと次の仕事もミスしてしまう」
ミスに対してこのように否定的に考えてしまうと、心理的ダメージが大きくなってしまう上に、自己否定につながりやすくなります。
心理的ダメージや自己否定はうつ病に対して悪影響を与えますので、治りにくく再発しやすくなってしまうのです。
どうしてストレッサーから離れなければならないのか
ここからは、もう少し詳しく原因について見ていきましょう。
うつ病になってしまった場合、一刻も早く発症するに至った主たるストレッサーから離れる必要があります。
それは一体なぜでしょうか?
過負荷状態から抜け出せないため
大きなストレスによってうつ病を発症してしまった場合でも、ストレス源がひとつだとは限りません。
しかしその中でも、「たぶんコレが原因では?」と真っ先に思い浮かべてしまうくらいの主要なストレス源が、1つか2つくらいはあるかと思います。
そもそもうつ病は、受けるストレスが大きすぎて過負荷状態になった結果、脳の機能が損傷してしまい発症する病気です。
まずはストレッサーから距離を置かないと、いつまでたっても過負荷状態から抜け出すことができないのです。
ある程度重いうつ病になってしまった場合に、医者が真っ先に休養を勧めてくるのはこれが理由です。
うつ病治療の過程でストレッサーへの対応を考える
人によって、驚異となるストレス源は異なります。
そのため同じ職場で2人がうつ病になってしまったとしても、ストレッサーが同じだとは限りません。
たとえばAさんは上司との関係に大きなストレスを感じている一方で、Bさんは過重労働や仕事から受けるプレッシャーが大きなストレスとなっていた、などです。
この場合、AさんとBさんはストレッサーが異なっていますが、どちらも休職することで距離を置くことができます。
したがって「休職して治療に専念する」という方針は共通しますが、ストレッサーへの対応方法に関しては同じというわけには行きません。
Aさんの場合なら、以下のように考えるべきでしょう。
このように、それぞれの状況を考慮した上で、ストレッサーに対してどのように対応するべきか考える必要があります。
「認知の歪み」とは何か
うつ病が長期化する原因になりやすい「認知の歪み」。
そもそも「認知の歪み」とは、一体何なのでしょうか?
少しややこしい話になるかもしれませんが、できるだけ分かりやすくなるように意識して説明してみます。
考え方や捉え方の「歪んだパターン」
人にはそれぞれ、考え方や捉え方のパターンを持っています。
たとえば、つい衝動的に3000円もする高級ランチを食べてしまったときの、楽観的なAさんと、悲観的なBさんの反応を見比べて見ましょう。
Aさん「つい衝動的に高いランチ食べちゃった。けどおいしかったし、また食べれるように仕事がんばろう!」
Bさん「つい衝動的に高いランチ食べちゃった。私は本当に意志が弱いダメな人間だ」
Aさんは衝動的な3000円ランチの良い面に注目し、仕事への活力に変えています。
一方でBさんは3000円ランチの悪い面だけを見て、自己否定してしまっています。
このBさんのような、余計な心理的ダメージを負いやすい思考パターンを「認知の歪み」といいます。
うつ病の自動思考も認知の歪み
うつ病になると、自分の意思にかかわらずBさんのような考えをしてしまい、自己否定を繰り返し続けてしまいます。
このような、勝手にどんどんと浮かんできてしまう思考を「自動思考」と呼びます。
自動思考そのものは誰しもが持つものですが、うつ病における「否定的な自動思考」は、認知の歪みによるものです。
したがって認知の歪みは、うつ病の症状のひとつと考えることもできるでしょう。
認知の歪みを矯正するとストレスが減る
認知の歪みを矯正して「肯定的な自動思考」に変えることができれば、自動思考から受けるストレスは激減します。
それによりうつ病からの回復が早まり、再発率も下がるといわれています。
逆に認知の歪みを残したままにしてしまうと、うつ病から回復しても自己否定的に考える癖が残ることになり、結果として再発しやすくなってしまうのです。
原因に対処する上での注意点
うつ病の治療中、あるいは良くなったばかりという場合は、いきなりこれら原因に対処するのは難しいと思います。
また自分自身の環境や、考え方などの価値観へのアプローチになるため、時間と労力がかかることが予想されます。
準備不足のまま手をつけてしまい、かえって状況が悪化してしまうことのないように、対応の際は以下の点に注意してください。
まずは休養することが大事
原因への対処は大きな手間とエネルギーが必要になります。
そのため、まずは休養してエネルギーを蓄えなければ何もできません。
焦る気持ちがあるかもしれませんが、ここは急がば回れの精神で、しっかりと休んで体力をつけることを優先するようにしてください。
通院と服薬でのうつ病治療を優先
休養の次に優先すべきは、通院と服薬によるうつ病の回復です。
うつ病の強い症状によって意欲が奪われたままの状態では、原因の対処など行えるはずもありません。
まずは休養と薬物療法による病状の回復を最優先として、十分に対処可能な状態になるまでゆっくりと過ごしましょう。
ある程度回復したら対処を考える
活動する意欲や集中力がある程度まで回復したタイミングで、ストレッサーや認知の歪みへの対処を考え始めるべきです。
もし判断が難しいと感じるなら、主治医と相談しておくのも良いでしょう。
また対策を考えて実行する際も、主治医と相談するのは良い考えです。
場合によっては効果的なサービスを受けられる施設を紹介してくれたり、有益なアドバイスをしてくれる可能性がありますので、可能なら助言を求めてみてください。
原因に対処する上での考え方
ここからは、ストレッサーや認知の歪みへの対処を実際に考える上でのコツなどを紹介したいと思います。
どれもサラっと説明していますが、実際にやるとなると非常に大変です。
注意点でも書いたように、しっかりと体力とエネルギーを蓄えて臨むようにしてください。
うつ病になった原因を明確にする
まずは自分がうつ病になった主な原因を明確にしましょう。
これをしないと、自分に必要なアプローチが何なのかを判断することができなくなってしまいます。
うつ病になると、発症時点の記憶があまりなかったり、あいまいになっていたりすることがあります(さぶらがそうでした)。
その場合は自分の近くにいた人に、当時の自分の様子を尋ねてみるなどして、足りない記憶を補完すると良いでしょう。
なお、原因は1つとは限りませんので気をつけてください。
むしろ複数の要因が重なって発症に至ることの方が多いでしょう。
原因ごとにアプローチを考える
原因を見つけ出したら、どのようなアプローチが考えられるか調査してみましょう。
たとえば、ある上司がストレッサーで、距離を置く必要があると分かった場合
- 別の部署に変わることはできるか
- 部署が変えられない場合、極力上司と関わらずにいられる方法はないか
- むしろ上司を変えてしまえる方法はないか
といったことを考えると良いでしょう。
例の場合は自分1人では決められない内容が含まれているので、会社の人間と話をする必要があります。
必要なら専門家の力を借りる
自分だけでは対応が難しいという場合には、積極的に専門家の力を借りるようにしましょう。
たとえば認知の歪みへの対処は、一般的に独力で対処するのは難しい問題だといえます。
したがってカウンセリングやグループ治療などの、精神医療サービスを利用することを検討するのが良いでしょう。
特に認知の歪みに対しては、認知行動療法が効果的です。
ただし大半の場合、保険が適用されないという点に注意してください。
うつ病になる前の状態には戻れない
うつ病では、認知の歪みへのアプローチをどうするかが重要なポイントになります。
「うつ病になる前に戻る」というよりも「うつ病になる前よりも良い状態になる」ことが求められるでしょう。
単純に働き方の問題が原因だった場合は、再発しない働き方に改める必要がありますし、認知の歪みが原因だった場合は、再発しないように歪みを矯正する必要があるのです。
長期化して一向に治らないという場合には、以前より良い状態になることに注目して自分を見つめ直してみると、突破口が見えてくるでしょう。
ーおしまい-